カプチーノ·カシス


良かった……やっぱりあたしたちは間違っていなかった。

安堵のため息をつくあたしとは対照的に、立川さんは苦々しく呟く。


「全く……現場の奴らをどう納得させりゃいいんだか」

「若い社員たちをまとめるのもあなたの仕事ですよ、お願いします」


……完全に課長の勝ちだ。

あたしはざまみろ、と少し意地悪な気持ちで立川さんの後ろ姿を見送っていたのだけれど……


「――待って下さい」


その背中を、突然呼び止めたのはハルだ。


「立川さん、コイツに謝ってませんよね。うちの武内は最初から風味異常だと言ってたのに」

「柏木さん、あたしは別に謝ってもらいたい訳じゃ……」

「馬鹿、そんなんだから現場の人間に舐められるんだよ」


ハルが私の為に言ってくれているというのはわかる。

だけど、わざわざ波風を立てなくても……!

案の定、立川さんの目にはみるみるうちに敵意が滲み出してきた。


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