カプチーノ·カシス


「……何を言うつもり?」


愛海の震える声。

“言わないで”とすがるような瞳。

俺はそれを振り切るように一度息を大きく吐き、彼女のかすかな希望を粉々に打ち砕く一言を口にした。


「……俺たちは付き合ってなんかいない。ただのセフレ……その真実を伝えてくる」

「セ……フレ……?」


呆然とする石原。

その体を押しのけて愛海が俺に近づく。


「や……やめて……っ!」

「どうせもう隠しておくのも限界だろ」


もう俺たちの関係は何もかも限界なんだよ。

何より……俺がそろそろ課長を許せない。


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