カプチーノ·カシス
「……考えて、みるよ」
疲れ切った様子で、課長が呟いた。
足元に転がった缶を拾って、俺に背を向け歩き出す。
俺はというと、話し終わるまで未開封だった缶開け、黒い液体を一気に喉に流し込んだ。
砂糖もミルクも入ってないそれは確かに苦かったが、どこか爽快感を伴いながら喉を通って体の中に落ちていく。
言いたいことは言った。
あとは課長がどう出るか、だが……
どうなっても愛海が泣くことに変わりはないだろう。
そうしたら今度こそ、俺が真正面から受け止めてやればいい。
拒否されても、逃がさない。
いつの間にこんなに惚れ込んでいたのかと自分でも思うが、理屈じゃないんだ。
早く本当の意味で、愛海が欲しい。
考えることはそればかりだ。