カプチーノ·カシス
◇石原 元基side◇
開発室から柏木さんが出て行くと、愛海ちゃんはますます泣き声を大きくした。
そんな彼女の様子から、さっきのことが真実だというのは一目瞭然だった。
……僕に課長への想いを話してくれたとき、愛海ちゃんは“つらいけど幸せ”と言っていた。
その言葉は、もしかしたら柏木さんの存在があったからこそ言えたのかもしれないと、さっきの二人を見ていて思った。
セフレなんて関係僕には全く理解できないけど……愛海ちゃんだって、単なる遊びでそういうことをする子じゃないはずだ。
きっと、寂しかったんだ。どうしようもなく。
そして柏木さんがそれを癒した……
いつだって僕は頼られないんだなと思うと、思わず苦笑してしまう。
それでもまだ、愛海ちゃんが好きだから……
何でもいい、力になりたい。