カプチーノ·カシス
翌朝、あたしはいつもより少し早く出勤するとお気に入りのブレンド(試作品だから世には出てない、秘密のブレンド)でウインナ・コーヒーを作った。
開発室の冷蔵庫には牛乳やホイップ、フレーバーシロップが常備されていて、たまに舌を休ませるためにそれらでアレンジしたコーヒーを飲む。
でも、あたしが今日これを作ったのは舌を休ませる為ではなく……甘いもので心を落ち着かせたかったから。
昨夜は酔っていたからそこまでピンときてなかったものの、あたしは今日ここで、今までセフレとして逢ってた人と初めて公式に(?)顔を合わせるのだ。
緊張して、なんだか胃が痛む。
そんなことを考えながら完成したウインナ・コーヒーに口を付けると、開発室のドアが勢いよく開いた。