カプチーノ·カシス
「迷ってるって……なんで」
「私一人で二人も育てる自信ないもの。体力的にも、金銭的にも……」
塔子は一体何を言ってるんだ? 何故、“一人で育てる”だなんて……
「塔子……俺にわかるように説明してくれ」
「説明してほしいのはこっちよ!」
長い髪をうっとうしげにかき上げながら声を荒げた塔子の瞳には、こぼれそうなほどの涙が溜まっていた。
「……最近夜中にベッドを抜け出して、誰かに電話してるの……知ってるんだから……っ」
ドクン、と心臓が一度大きく波打った。
そうして送り出された血液は、俺の全身に嫌な予感を運んで行く。
塔子は俺の不実を知り、そして“一人で育てる”と言っているんだ。
導き出される答えは一つしかない――。
「離婚……するつもりなのか?」