カプチーノ·カシス
「――柏木です、よろしく」
ハルがまず石原に近づき、握手を求める気配がした。
「石原です、こちらこそよろしくお願いします」
石原が愛想の良い声でそれに応えているのが聞こえて、今度は大きな影があたしの頭上にかかった。
やばい……来た――っ!!
「武内さんも、よろしく」
目の前に手を差し出され、もう腹をくくるしかなかった。
「よ……よろしく、お願いします」
おずおずと顔を上げると、ハルの鋭い瞳が一瞬細められ……
「へぇ……」
あたしにしかわからない声でそう呟くと、握手のために差し出されていた手が急にあたしの口元へと伸びてきた。