カプチーノ·カシス
フロスティ·オレンジ
……会社、行きたくないな。
あたしは眩しすぎる朝の日差しから逃れるように、寝返りを打つ。
昨日、マグカップを割ろうとしたハルに『課長とちゃんと話す』なんて言ってしまったけれど。
何を話せばいいのか、どんな顔で向き合ったらいいのか、そればかり考えて昨夜は一睡もできなかった。
それでも……答えはまだ出ていない。
「自分で蒔いた種……か」
ハルの言うとおりだ。
片想いに悩んでいる人なんてこの世にたくさんいて、ほとんどの人が寂しさは自分の中できちんと処理している。
あたしにはそれができなくて、いつもハルに甘えて、弱音を吐いて、抱き締めてもらっていた。
ほんのひとときの心の平穏しか得られないのに。
こんな女、課長に嫌われて当然なのかもしれない。
そこまで考えるとじわっと涙が溢れてきて、枕に顔を押しつけた。