カプチーノ·カシス
このまま無断欠勤してしまおうか……
そんな無責任な考えまで浮かんで、あたしはさらに自分を嫌いになった。
仕事に私情を挟むなんて、昨日の立川さんと同じじゃない……
あたしは力を振り絞ってベッドを抜け出し、電気ストーブを付けてから洗面所に立つ。
「……寒っ」
寝不足と泣きすぎでくすんだ顔を冷水で洗って、たっぷりの化粧水を肌にたたき込む。
少しだけましになった顔に乳液を染み込ませながら部屋に戻ると、ベッドの上で携帯が震えていた。
――誰だろう。
この時間に課長ってことはないだろうし、かかってきても何を言えばいいのか……
乳液で濡れた手をルームウェアで拭ってディスプレイを見る。
そしてあたしは、安堵のため息をついて電話に出た。