カプチーノ·カシス
「「課長はどっちが上だと思います!?」」
声を揃えて課長に詰め寄る二人。
その様子を呆然と見ていると、課長は柔らかく微笑んで言った。
「どっちも、大切なんじゃないかな……コーヒー開発課の仲間として」
じゃあ俺は会議に行ってくる、とその場を離れた課長。残された二人は納得できない表情のまま、開発室に入ってきた。
「友人ってのはキスもできないんだぜ?」
「セフレには気持ちがありません!」
言い争いながらこちらに近づいてきた彼らが可笑しくて、あたしの泣きたい気持ちはどこかへ言ってしまった。
思わずクスっと笑ったあたしを見た二人は、顔を見合わせて呟く。
「大丈夫そうですね」
「……だな」
確かに課長の言うとおり……二人とも大切な、あたしの仲間だ。
そんな思いで胸が満たされていく瞬間だった。