カプチーノ·カシス
「……わかり、ました」
もう色々と諦めたあたしは、肩を落としてそう呟く。
デスクが斜め向かいの課長は「仲良くね」と優しく微笑み、正面の石原は灰色の瞳で不思議そうにあたしとハルを見比べ、そして隣のハルはと言うと……
「昼休み、外の資材倉庫で落ち合おうぜ。聞きたいことが山ほどあんだよ。……ナミ」
ベッドの中で囁くときと同じくらい、淫靡な声であたしの鼓膜を揺らした。
「ま……まずはコーヒーの淹れ方からですねっ!」
思わず反応しかけた身体を騙すために、あたしは高らかにそう叫んだ。
ハルはまた楽しそうにクスクスと笑いながらあたしの後についてくる。
あたしは本当にこの男と、仕事をしていけるのだろうか――…