カプチーノ·カシス


「……ハル……これ……」


あたしはカップを指さして、思わず潤んでしまった瞳で彼を見る。


「お前そんな簡単な英語もわからないのか?」


ハルが呆れたように、あたしを笑う。


「意味は……わかる……けど」

「じゃあそのまま受け取ればいい。別に今すぐってわけじゃねえよ。ただ……どうしたらもっとお前の支えになれるんだろうと思って」

「そ……んな……っ。今だって、充分……!」

「……泣くなって」


ハルがあたしの頭をぐい、と自分の胸に引き寄せた。

そのぬくもりが、あたしの涙腺をますます刺激する。

本当に……充分すぎるほど今まで助けてもらって、あたし、何にも返せていないのに。

こんな素敵なメッセージを受け取る権利が、あたしにあるの……?


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