カプチーノ·カシス


ヒステリックになったあたしは勢い余って脚をテーブルにぶつけ、カプチーノの液面を激しく揺らしてしまった。


「いけない……!」


慌ててカップを確認すると、ハルからのメッセージは消えることなく、くっきりと残っていた。


「良かった……」

「んな慌てなくたって。どうせ後で飲むだろ」

「それはそうだけど……」


――いつかは飲まなきゃいけないけど、もう少しだけ見ていたい。

ぶっきらぼうなハルの、あたたかい愛の言葉を。

そしていつか、あたしが自信を持って返事ができる日が来たら……

同じ言葉で、ハルに伝えよう。



“Let's get married!”








カプチーノ・カシス

END

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