カプチーノ·カシス
「……遅いじゃないですか」
「え……?」
「美波……寒いです……」
おもむろに立ち上がった彼女は、いきなり僕に抱きついてきた。
「と……とりあえず外に出よう!美波ちゃん、歩ける…?」
「はいっ!」
美波ちゃんは敬礼のポーズを取り、高らかに返事をした。
………元気そう……だな。
僕は冷凍庫から出て、隣を歩く彼女に尋ねる。
「体……なんともないの?」
「平気です!だって石原さんが来る少し前まで、ちゃんと扉を開けて作業してましたから」
「…………?」
彼女の行動が理解不能すぎて、僕の眉間にしわが寄る。
だったらどうしてそのまま開けておかなかったんだ……?
「……心配、して欲しかったんです」
急に声のトーンを落として、美波ちゃんがそう言った。