カプチーノ·カシス


「はは、そうなんだけどさ。でも本当に、武内さんと石原は俺が育てたみたいな意識があって、すごく可愛いと思ってるんだ。だから相手が石原ならたぶんあんな風に怒らなかったんだろうけど……柏木くんは、まだ信用できないというか」


仕事はできそうなんだけどね、と付け足して、課長がデスクから立ち上がった。


「手伝うよ。新しい配合?」

「あ……はい」


近づいてきた大好きな課長の香りに、その優しい仕草に、しぼみ切ったあたしの胸が、今度は鈍く痛み出す。


「これ……やっぱり、明日にします」

「そう? あぁ、もうこんな時間だもんな。じゃあ計量だけして冷凍しておこうか」


あたしは泣きたいのを堪えて、黙々と豆を計量すると密閉容器に移して冷凍庫に押し込んだ。


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