カプチーノ·カシス


「今まで果汁専門だった大阪の工場でもコーヒーの生産を始めることになった。それで向こうもうちみたいな開発チームを作るみたいなんだけど、大阪工場にはコーヒーに精通してる社員がいないらしい。それで……」


そこで言葉を切った課長は何故かあたしの顔を見た。

え……? まさか…転勤とかじゃないよね?

うちの会社は女子社員にも転勤がないわけじゃないけど、そうだったら事前に何か言われるはずだし……

一瞬曇ったあたしの心。

だけどそれに続く言葉は、あたしの悪い予想とは真逆のものだった。


「今月の二十一日に、俺と武内さんで大阪工場に社員教育に行く。こっちのことは石原と柏木くんに任せるから、そのつもりでね」


あたしと課長で、大阪に……?


< 68 / 349 >

この作品をシェア

pagetop