カプチーノ·カシス


「うん……いいんじゃないかな、もう少しだけ苦みを補えば」

「じゃあ次は少しブラジルを足してみるか」


ハルが早速次を試そうと動き出すと、課長が壁の時計を見てそれを制止した。


「もうこんな時間だ、あとは明日にしよう。風味の核となる部分の配合は決まっているから、もう完成まで時間はかからないだろう?」


こんな時間って……え、あと五分で十時!?

集中してたからちっとも気がつかなかった……


「そうですね……じゃあ、続きは明日」

「うん、片づけは俺がやっとくからみんな先に上がって」

「あ、私も手伝います!」

「駄目だよ、武内さん。女の子は早く帰らないと危ない。少しだから一人で大丈夫」


……残念。

一緒に居たかったんだけどな。


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