カプチーノ·カシス


目を細めてあたしを見つめながらそう言ったハル。

課長はアンタとは違うわよ……そうも思ったけれど、ハルがあたしの背中を押してくれていることに変わりはない。

あたしは小さく頷くと、来た道を小走りで戻って行った。



「まだ、明かりがついてる……」



開発室の扉の前で、あたしは胸に手を当てていた。

中に課長が居ると思うとかなりドキドキしてきたけど、あたしにはマフラーを取りに来たという正当な理由がある。

とりあえず、普通の顔して中に入ろう……

そうしてあたしはゆっくりと、開発室の扉を開く。


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