カプチーノ·カシス


「た……武内さん!?」


慌てた声が上から降ってきたけど、あたしは動じない。

それどころかさらに腕に力を込めて課長にしがみつく。


「あたしには、弱音吐いて下さい……」

「え……?」

「あたしには、情けない姿も見せて下さい……」

「武内さん……?」


……ねぇ、ハル。

今が勝負時なんだよね?

あたし、勝負してみるよ。

もしも散ってしまったら、また慰めてよね。


あたしはゆっくり体を離すと、課長の目を真っ直ぐに見つめて言った。


「どんな課長でも、あたしは好きですから――……」


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