カプチーノ·カシス


課長は、どうしてこう……自分のこととなると鈍いんだろう。

石原の恋を応援したり、あたしがハルを好きだと勘違いしたり、他人のことには敏感なのに。


「同情なんかじゃなくて、あたしはこの部署に来てからずっと……ずっと課長のことが好きなんです!」


さっきので伝わると思っていたから、二度目の告白はかなり恥ずかしいものがある。

だけど今度こそ……あたしの想いを受け止めて欲しかった。


「武内さんが、俺を……?」


なのに課長は全く信じられないという表情で、あたしに聞き返す。


「そうです。ライクじゃないですよ、ラブの好きです」


先手を打っておかないと、鈍感な課長は『上司としてだよね?』とか聞いてきそうだから、あたしは強い口調でそう言った。


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