カプチーノ·カシス


「ああ、うん……おはよう」


課長はそう言いながらあからさまに視線を泳がせ、頬は見る間に赤く染まっていく。


「課長……?」

「――さ! 今日は頑張って本部長を唸らせる新商品を完成させよう!」


ふいっとあたしから顔を背けて、妙に気合いの入った声を上げた課長。

今の反応……少しは、あたしを意識してくれたって思っていいの?

そんな思いで彼を見つめ続けていると、スーツの上着を脱いで椅子の背もたれに掛ける課長と、もう一度目が合った。

すると課長はまた顔を赤くして、あたしから目を逸らす。


これは……手応え、ありかも。


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