動化家3
お祝いと闇の取引
辺りはすっかり暗くなった時、窓からケリーが入ってきた。

ケリー「やっぱり捕まっていたんだね。さぁ逃げよう!」

チコのロープを触ろうとした時、ドアが開いた。

パパ「何をしている!」

ケリー「チコを離して下さい!」

パパは鞭でケリーを叩いた。

パパ「この家では、私が一番偉いんだ!口答えするやつは容赦しない!」

パパはチコを抱えて、下へ降りた。ケリーも一緒に。

テーブルにはご馳走が並んであった。

パパ「喜べ…!私に妻が出来た!チコ!挨拶しなさい!」

チコ「チコです。」

パパ「無愛想だな…。まあいい!ゆっくり食べておけ…!私はちょっと部屋にいる!」

パパは部屋へ戻った。

ケリーはチコのロープをほどいた。

ケリー「大丈夫か?」

チコ「うん…。」

ケリー「チコ…。君と僕はもう逃げられない。」

チコ「どうして…?」

ケリー「パパの仕事は…。魔法使い売りのボスだ…。魔法使いと結婚して息子か娘に魔法使いが居れば、高値で買い取ってくれるみたいで…。」

チコ「そんな…。私、偵察してくる!」

チコは階段を登り、パパの部屋のドアに耳をあてた。

パパ「もしもし…?私だ…!無事、魔法使いと結婚して息子に魔法使いがいる!いくらで買い取ってくれる?」

沈黙が続いた。

パパ「……5億?いいだろう!明日の朝に迎えに来てくれ!」
チコは驚いた。

静かに下に降りて椅子に座った。

チコ「私達、明日にはこの家からいなくなるみたい。」

ケリー「そうか…。」

暗くよどんだ空間が流れた。

パパが来た。

パパ「食べてるか…?明日、みんなでハイキングに行こう!明日の朝、出発だ…!準備しとくように!」

2人は頷いた。

ご飯を食べてケリーは先に部屋へ戻った。

チコ「もう眠たいから、寝てもいい?」

パパ「構わないよ…!私も寝るから、一緒の部屋だしな!」

2人は部屋に戻りベッドに入って眠った。

チコは寝言を言っていた。

チコ「お母さん…。もう何処にも行かないで…。」

涙を流すチコを見て、パパはハンカチで涙を拭いてあげた。

パパ「すまないね。私も生活の為なんだ…。」

そう言って眠った。
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