あの空の向こうに
…翌朝。
「さっ…沙羅っ!」
「杏子?」
「なんで…柊なんかとっ…!?」
わからなかった。
聞きたいことがたくさんあったのに、
その光景で、言葉を失った。
「沙羅っ…なに…ソレ…。」
「え?どぉしたの?」
私が驚いたのは、
沙羅の手や足に無数にあった、
たくさんのあざだった。
「あぁ、これ?
階段から落ちたんだよぉ。
私、ドジに戻っちゃって…(笑)」
笑ってる場合じゃないよ…沙羅…。
階段から落ちたとすれば、
こんなあざが多いはずがない。
何で…何で嘘をつくの??
「沙羅…沙羅は、階段から落ちるほど
ドジじゃないはずだよ?
何か…あったの??」
優しく言ったところで、
沙羅が、大人しく言ってくれるとは限らない。
「えー何もないよ(笑)
私は元気だしっ!…ね?」
沙羅…気づいてないよね。
今の顔…すごく泣きそうだよ?
辛そうな顔してるよ?
どうして隠すの?
「…どうして親友の私を、
信じて頼ってくれないのっ!?」
一番言いたくなかった言葉だった。
『親友なのに…』
そんな言葉で、沙羅との絆を
表したくなかったのに…。
沙羅…ごめんね…。
「ごめん…杏子。
ちゃんと言うよ。
だから、最後まで聞いててね。」
「うん。」
そう言って、
沙羅は泣きながら、話し始めた。