tender dragon Ⅰ
「葉太?」
何も言わないから、変だと思って葉太の名前を呼んだ。
その瞬間だった。
首筋にツツーっと何かが触れた。
「ひゃっ…!」
思わず体がビクッと跳ねた。
背筋がゾクゾクする。
「やっぱり。美波、くすぐったいの苦手だろ?」
触れたのは葉太の指。慌てて首筋を押さえた。
「いきなり触らないでよっ」
「ごめんごめん、そんなに反応すると思わなかったんだよ(笑)」
変な声を出してしまった自分が恥ずかしい。
穴があったらほんとに入りたいわ…
「希龍ー、昼飯出来たぞー」
少し笑いながら、葉太が希龍くんの肩を軽く揺する。
いつ見ても、綺麗な顔。
なんでか分からないけど、起こすのは勿体ないと思ってしまった。