tender dragon Ⅰ

「ふーん、そっか。」

納得してないみたいだけど。

「あ、そうだ。加奈、彼氏とはどうなの?」


あたしの家庭状況なんて興味ないであろう、友達の1人が、加奈の彼氏の話をする。

すると、加奈の表情は一変した。


「ラブラブだよー。でも、最近忙しいみたいで、あんまり会ってないんだよね。」

嬉しそうに、笑う。


加奈の彼氏の話よりも、"最近忙しいみたい"と言ったことが気になった。

加奈の彼氏が忙しいってことは、狂羅が忙しいのと同じこと。最近見かけないのに、どうして忙しいんだろう。


「あ、それもしかして貰ったの?」

「そうなの!あたしに似合うと思ったから買ってきてくれたんだって!これね、ブランドものらしいの」


少し興奮ぎみに話す加奈は、キラキラ光るブレスレットをあたしたちに見せびらかした。

羨ましいと思えない。

どうしてか分からないけど、そんな風にブレスレットを見せびらかしている加奈を見ていると、悲しくなった。

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