tender dragon Ⅰ
「ねぇ、大丈夫?」
泣いてるのかと思い、声をかけると、その子は驚いたように振り返った。
あたしも驚いた。
こんな綺麗な子、いたっけ?
ネクタイの色が一緒だから、学年は同じはずなのに、一度も見たことがない。
ましてやこんな綺麗な子、目立たないわけがないのに。
「大丈夫だよ」
ニコッと笑う顔はやっぱり綺麗で。
人が良さそうな、人懐っこい笑顔だった。
「これ、あたしには合ってないみたいで。目が疲れちゃうんだよね」
手に持っていた眼鏡をかけた。
あぁ、これで目立たないわけだ。
「眼鏡しない方が可愛いのに…」
思わず呟いてしまった。
せっかく綺麗な顔をしてるのに、勿体ない。眼鏡が邪魔をする。