tender dragon Ⅰ

もしもあの日、カラオケに行かなかったら、きっと一生関わることなんてなかったんだろうなあ。


「ほんとにあたしの弟なの?って思っちゃうんだよね。」

「何で?」

「あんなに有名なやつの姉があたしなんだよ?なんかしっくりこないでしょ。あたし普通の女子高生だし」


そんなことない。

たしかに今まで知らなかったけど、眼鏡を外すとこんなにも可愛いじゃない。

芽衣が希龍くんの姉なら、誰だって納得がいくと思う。普通にしてれば、きっと加奈たちより目立つでしょ。


「そんなことないよ。だって芽衣、スッゴい美人だし。さっき、遼太くんと一緒に居るところ見られたら終わりだって言ってたでしょ?」

「うん…」

「終わりだ、なんて言ってるくせに、芽衣ちょっと楽しそうだった。ピンチになったとき、楽しそうにするところとか、やっぱり希龍くんに似てるよ。」

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