tender dragon Ⅰ
初めて会ったあの日の、逃げているときの希龍くんの表情は今でも忘れない。
少し楽しそうで。
芽衣もさっきそんな顔してた。やっぱり、姉弟なんだなぁって、思ったの。
「うそ、ほんとに?」
「うん。何て言うか……そんな状況で楽しそうに出来るって、やっぱり度胸あるよね。あたしには絶対無理だもん」
「あははっ、そっか、美波にはそう見えてるんだ。まぁ、度胸はあるのかも。」
見える。見えまくり。
希龍くん並に度胸ありそう。
「あたし昔はパパ似だって言われてたから。今はママ似だけどね」
パパ似…
要するに、やんちゃな性格してたってことね。
希龍くんは昔、お母さん似だと言われてて、芽衣は昔、お父さん似だって言われてたんだ。
それが今は入れ替わってるってこと。