tender dragon Ⅰ
昼間からメロンパンなんて、ちょっと食生活に問題がある気がするけど仕方がない。
安田さんがまだ帰ってきてないから。
冷蔵庫には食材もない。
今安田さんが買いに行ってる。
さっき希龍くんは急に出掛けていって、帰ってきたときには手にメロンパンの入った袋を持っていた。
どこに行ってたの?と聞くと、当たり前のようにコンビニと答える。
「安田さん遅いね」
「うん、葉太も」
あたしと希龍くんは安田さんの家で2人きり。
せっかくの休日なのに、みんな忙しいみたい。
もしかしたら希龍くんも忙しいのかもしれないけど、あたしが1人にならないように、ずっと一緒にいてくれる。
前よりもずっと、警戒してる。
きっとそれは、噂がハッキリしてきたからで。
あたしだってバレる確率が物凄く上がったからでもある。