tender dragon Ⅰ
「うそ…っ!」
急に立ち上がったもんだから、隣にいた希龍くんは驚いた顔であたしを見ていて。
「どーしたの?」
優しくそう聞いてくれる。
どうしよう、言うべきか。
でも、1人になるなって言われてるこの状況でそんなこと言ったら迷惑がかかるに決まってる。
いや……でも1週間……
1週間はキツいか?
お母さんとお父さんが同じ時期に出張に行くことなんて、珍しいことじゃない。
ただ、状況が状況だから。
当然不安になる。
「美波?」
名前を呼ばれてハッとした。