tender dragon Ⅰ
ヘルメットをあたしに被せながら申し訳なさそうに言った。
違うのに。
別に、希龍くんに怒ってるわけじゃない。
ただ、あたしなんかのことをこんなに心配してくれてて、本気で守ってくれようとしてるのが分かるから。
そんなの、戸惑う。
どうしてあたしなんかのために、って。そんな風に思ってしまう。
「迷惑かけて、ごめんね」
あたしの身に何も起きてないのは、希龍くんたちが頑張ってるからであって。
あたしはただのお荷物だ。
あたしがいない方が動きやすいはず。
今だってこうして、あたしの傍にいることで希龍くんの時間が潰れてる。
龍泉のトップなんだから忙しいはずなのに。