tender dragon Ⅰ
「あ…大丈夫…です」
「そっか、よかった。早く帰った方がいいよ、この辺変なやつ多いからね」
「はい…」
驚いた。
金髪がよく似合う中性的な顔立ち。
イケメンだなぁ、って思ったんだけど、あたしが驚いたのはそんなことじゃない。
光に照らされたことによって、真っ白なシャツについた赤い血が見えたから。
この人は怪我してないから、これはきっと返り血。それが分かったから余計に驚いた。
見てはいけないものを見た。そう思って勝手に足取りが早くなる。
早く帰らなきゃ…
………そして歩くにつれて、聞こえる音がだんだんと、ある1つの音にかき消されていく。
「えぇ…?」
何か、聞いちゃいけないような…