tender dragon Ⅰ
「近くにいるからすぐ来るって。」
「誰が?」
やっぱり、葉太にも説明しなきゃならない。
葉太だって安田さんの家に頻繁に泊まってるみたいだし。
「春斗。」
「何で?」
「あたしが今日から安田さんの家に泊まるから、春斗に家まで送ってもらおうと思ったの。」
「は?美波、安田の家に泊まんの?」
当然葉太は何も知らないから戸惑っている。
希龍くんは説明なんてしないだろうから、やっぱりあたしが話すべきかな。
「うん、お父さんもお母さんも今日から1週間、出張に行くみたいなの。だから…」
「あー、そういうこと。」
納得したように頷いて「気を付けろよ」と言って階段を上がっていった。