tender dragon Ⅰ
葉太が上り始めてすぐに、バイクに乗った春斗が来て
「希龍さん、こんにちは!」
高校生らしからぬ可愛い笑顔で、大きな声で挨拶をする。
「うん。」
「美波さんを家に連れていけばいいんですよね?」
「うん、裏道通ってね」
春斗にそう言いながら、寒いのに自分の上着を脱ぐ希龍くん。
何でこんなところで脱ぐんだろう、なんて思ってるとこっちに来た。
「え?これ…」
自分の着ていた上着をあたしに着せた。以前葉太に聞いた。
希龍くんは寒がりなはずなのに。
「それだけじゃ風邪引くよ。」
「でも、希龍くんも寒いでしょ?」
「俺はもう家に入るから。」