tender dragon Ⅰ
「なんか…すいません」
「え?何が?」
ほんとに、申し訳なさそうにそう言った。
何に対して謝られてるのか分からない。
「だって、美波さん希龍さんと付き合ってるんですよね?希龍さんの彼女の部屋に入るのは気が引けるっていうか…」
「ちょ、ちょっと待って。」
聞き捨てならない。
少し……いや、事実とは大きく異なる話が聞こえてきたんだけど。
どこでそうなったの?
「あたし希龍くんの彼女じゃないよ?」
「え?そうなんすか?」
キョトンとしてる春斗の様子からして、きっと本気であたしと希龍くんが付き合ってると思ってたんだろう。
あたしがさっき返事をしなかったからかな。