tender dragon Ⅰ

その音はだんだんこっちに近づいてきているみたいで、近づくにつれて、耳が痛くなるほどの爆音があたしの脳を揺らす。


…それはきっと、無数のバイクの音。


「うっそ、最悪……」


今日は厄日なの?

さっきのナンパ男よりも、こっちの方が危ない気がするのはあたしだけ?


すると、後ろの方からも大きなバイクの音が聞こえる。


やっぱりあたしの人生は今日で終わりなのかもしれない。いや、きっと今日で終わりだ。


前から来るバイクよりも、後ろから来るバイクの方が早かった。

それはあたしの横まで来ると止まった。

それに乗っていたのはさっきの金髪少年。

シャツについてる返り血が、事の大きさを物語っているみたいだった。


「ごめんね。ちょっと、拉致られてくれない?」


理解不能。

< 15 / 428 >

この作品をシェア

pagetop