tender dragon Ⅰ
「明日は安田さんの家に迎えに行きますね」
「あ、うん。そうだね」
あたしが喋らないのを見た春斗は、さっきまでの話をなかったことにしたみたいに、明るく話しかけてきた。
あたしより少し高い位置にある顔があたしを見て、ニコッと笑う。
「希龍さんに上着借りといて良かったっすね。今日すっげぇ寒くないっすか?」
「ほんとだよね。今日いつもより寒いかも。春斗はそれで寒くないの?」
「俺は希龍さんと違って寒さに強いですから。これで十分ですよ」
とてもじゃないけど、年下とは思えない。
大人っぽいと言うか、気が遣えるというか…
春斗が大人に見えた1日だった。