tender dragon Ⅰ
「学校、どうだった?」
「んー……芽衣と話してるときは楽しいけど、それ以外は普通だよ。あたしはいてもいなくても変わらないみたいだし」
「何それ。美波の友達って、そんなやつらしかいねぇの?」
友達、か…
加菜たちのことを”友達”と呼べるのか自分でも分からない。
あたしがいてもいなくても変わらないのは、ずっと前から気づいてた。
気づいてたけど、それが楽でいいと思ってた。
そうすればイラつかれることも、喧嘩することもなく、平和に学校生活を送れるから。
「美波?」
「あ…ごめん。友達っていうか、ただ一緒にいるだけだから。」
葉太の髪についてた滴が、ポタポタと滴り落ちる。
髪が濡れた葉太は、いつもと雰囲気が違って変な感じがした。
「ふーん。ほんとの友達はいないってか。」
「やっぱりいないのかなー…。」