tender dragon Ⅰ
自分で言ってて悲しくなるけど、事実は事実。
あたしに本当の友達がいないことは、ずっと前から気づいてた。
「春斗は?」
「え?」
「蒼空は?安田は?芽衣は?」
「何が…?」
「あいつらも友達じゃねぇの?」
葉太の真剣な目があたしを捉えていて、思わず下を向いてしまった。
そんなあたしの手を、葉太が掴む。
「じ、じゃあ…葉太はあたしのこと友達だと思ってるの?」
「俺はどうだろうな。」
何でそんなこと言うんだろう。
なんて、考えてる余裕はなかった。
手を強く引かれて、気がつけば葉太の顔は目の前にある。息が止まりそうだった。
近すぎて。
葉太が何を考えてるのか分からなくて。