tender dragon Ⅰ
二度目のキス
「あー、葉太にねー…」
「今日の朝は葉太、寝坊してたから会わなかったけど…まだまだ日にちはあるし、話さないわけにはいかないでしょ?」
芽衣と一緒に授業をサボっているとき、昨日のことを相談してみた。
あたしなんかより、芽衣の方が葉太のことをよく知ってる。
「あの葉太がねー…」
「……何?」
「いや、葉太は昔から彼女より喧嘩優先って感じだったから。自分から好きになったっていうのも聞いたことないんだよね。」
葉太はどうして寄りによってあたしを?
今まで喧嘩第一だったのに、どうしてそんなに急に…
「付き合ってないのにキスしちゃったのね。あたし葉太のことは昔から知ってるけど、そんな強引な男だなんて知らなかったわ。」
「……だから、それは多分酔ってたからで…」
「酔った勢いでキスするようなバカ男じゃないよ、葉太は。希龍も言ってたでしょ?」
「…うん、言ってた……」
思い出しただけで泣けてくる。
葉太と気まずいことよりも、希龍くんに言われたことの方が気になる。