tender dragon Ⅰ

「キャーーっ!!」


それにしても怖い。

絶叫マシーンなんかよりももっと怖い。


しがみついていないと振り落とされそうで、腰に腕を巻き付けた。


この運転さばきを見て思った。

この人は何者なんだろう?と。


喧嘩はものすごく強いみたいだし、今の状況を見れば分かるけど、たくさんの人に追われてるみたいだ。

この人が相当悪いことをしたのか、それとも追いかけてきてる向こうが悪い人たちなのか。


俺の敵だって言ってた。

敵って?


……よく分からない人。


「待てや神岡!」

ものすごい怒号が後ろから飛んでくる。


"神岡"というのは、もしかしたらこの人の名前なのかもしれない。

さっきから聞こえてくる怒号の中には、この名前が入ってるから。


「てめぇふざけんなよ!」

「調子のってんじゃねぇぞ!」

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