tender dragon Ⅰ
……相当お怒りのようで…
「お前なんか金龍じゃねぇよ!」
金龍?
金龍ってもしかして、金色の龍の略?
ほんと、何者?
この人は"撒く"という宣言通り細い道を器用に曲がって距離を離していく。
危ない感じもなく、スルスルと器用にすり抜けて、大きな道に出た時にはもう、バイクは1台もついてきていなかった。
「門限何時?」
「えっ、あ…ないですっ」
「そっかー。」
それだけ言うと、後は何も言わなかった。
こっちはあたしの家とは逆方向なんだよね。ということは、今向かってるのは少なくともあたしの家じゃない。
どこへ行くのか分からないけど、助けてくれたんだし、危険な人ではないと思う。
だからきっと、大丈夫。
……多分。