tender dragon Ⅰ
「あの…ここは…」
「んー、安田の家」
安田って誰?
ん?当たり前のように"安田"なんて言われても分かんないからね。
綺麗なマンションの一室。
ここが安田さんの家らしい。よく分からないけど、高級そうなマンション。
―ガチャ…
自分の家のようにドアを開けて部屋の中に入る神岡くん。
部屋の明かりに照らされて分かった。
神岡くんの髪の毛は、外で見たよりも遥かに明るくて、黄色というよりは、色素の薄い金髪だった。
例えるなら、ミルクティーのような。
「お、希龍。お前どこ行ってたんだよ?コンビニに行くって言ってたよな?」
そして白いソファーに座っている、学ラン姿の男の人が不意に振り返った。
キャラメル色の髪が、電気の光でキラキラ光ってる。
振り向いた彼もまた、神岡くんと同じで整った顔立ちをしていた。