tender dragon Ⅰ
希龍くん1人のための部屋だから、もちろんベッドもシングルベッド。
2人で寝るには狭すぎる。
…ていうか、近すぎる。
「やっぱり俺がソファで寝ようか?」
「ダメ。」
気を遣って言ってくれてるのは分かってる。
でもやっぱり、あたしにとって希龍くんは好きな人なわけで、緊張しないわけがない。
緊張しながらもベッドに近づいて、寝転んでる希龍くんの隣にゆっくり正座すると、パッチリした大きな目があたしを見つめる。
逸らされることのない、綺麗な瞳。
「な、に…?」
そう小さく口にするのが精一杯だった。
「んー…」
どこまでもマイペースな人だということは、日常生活を見てれば痛いくらいに分かった。
この状況でもマイペースだなんて。
「き、希龍くん先に寝ていいよ…」
緊張してるのがすぐに分かっただろう。あたしだけがぎこちなくて、余計に緊張してしまう。
そんなあたしを見た希龍くんはクスッと笑って、とんでもないことを口にする。