tender dragon Ⅰ
次の日から案の定、教科書はなくなるし上履きだって何足なくなったか分からない。誰に話しかけても無視された。
あたしは虐められてるんだって、言われなくてもすぐに気づいた。
こうなるのが嫌だったから、なるべく目立たないように、みんなに逆らわないように過ごしてたんだけどな。
"死ね"
油性ペンで机に書かれたその文字は、いくら擦っても消えなかった。
そんなの、気づかないわけないのに先生も気づかない振りして。
誰も助けてくれないんだと分かって、涙が出た。泣くとあの子たちは面白がるって分かってたけど、自分の意思じゃ止められなかった。
「うわ、泣いてるよ!」
「難波くんに助けてもらえばー?」
そんなこと出来るはずない。
難波くんは違うクラスだし、別に付き合ってるわけでもないんだから。
仲が良いわけでもなかった。
だから何で好かれてるのか、分からない。