tender dragon Ⅰ
「だって、春斗さん幹部ですよ?同い年でも俺なんかとは全然違うんで。」
幹部? 春斗が幹部?
うっそだー、あたしそんなこと1回も聞いたことないんだけど。
ていうか、何で気づかなかったんだろう。
「そ、そっかそっか。」
「春斗さんに美波さんの家の場所聞いてきたんで、迷わず行けますよ。」
「あー、じゃあ帰ろうか。」
「はい。」と頷いて、バイクを進めた。
タケくんはそのあとも色々話しかけてきたけど、あたしが考えていたのは春斗のことだった。
あたしに見せる幼い笑顔は、タケくんたちには見せてないんだろうな、と思うと不思議な感覚だった。
幹部かぁ…
どうりで、勘が鋭いわけだ。
すごく賢い人なんだね。
「美波さんって希龍さんの彼女ですか?」
「…違うよ。」
「あれ、俺てっきり彼女なんだと思ってましたよ。希龍さん彼女いっぱいいるし。」
あ、やっぱり。彼女いっぱいいるんだ。