tender dragon Ⅰ
「あ、自販機発見!」
自販機を探してたんだ。
1人で納得して、また1人で笑ってしまう。
タケくんが学校にいるときもいつもこの状態なんだとしたら、あたし、ずっと笑っていられるかも。
何となく、ツボだ。
「美波さん何飲みます?」
「あ、じゃあミルクティーで。」
「分かりました。」と言ってバイクから降りた彼は、ポケットを探って一瞬フリーズした。
「あれれれれー……俺の財布ちゃーん。」
「え……」
まさか無くしたの?
「嘘だろ、おい。」
こっちの台詞だよ。
もう、ダメだってば。君はあたしのツボなんだからね、変なことしないで。