tender dragon Ⅰ
「あはは、冗談だよ。狂羅が追ってきたからとりあえずここに連れてきただけ。顔見られたからね」
何て言うか……
希龍くん、性格がのんびりしすぎていない?
「あーあ、それは災難だったね。どおりで、狂羅がやたらと走り回ってるわけだ」
「あっちが先にしかけてきたんだって。俺、ある程度殴って逃げたんだけどな。」
「だからってシャツ汚すなよ。洗濯するの俺なんだからな」
あぁ、返り血ね…
「あー…はは、こんな格好じゃコンビニにも入れないもんな。」
違うでしょ。
コンビニに入れないからシャツを汚すなって言ってるんじゃなくて、洗うのが面倒だから汚すなって言ってるのに。
「はぁー…もういいわ。君、名前は?」
「川島美波。美波、この人が安田健太。俺らより6歳年上だけど、気にすんな」
口を開きかけたあたしの代わりに葉太が安田さんを指差して言う。
気にするよ。
6歳年上って、人生において結構先輩だよ。