tender dragon Ⅰ

自分で言っておきながら、口にする度に心が壊れてしまいそうだった。

でも、希龍くんが否定してくれた。

だから泣いてる。

結衣がそんな風に思ってるわけないって、ちゃんとあたしに言ってくれた。初めて他人の口からそんなことを言われた。


ずっと不安だった。

ほんとに結衣がそう思ってたら、あたしは生きてる資格あるの?って。

結衣を苦しめる原因になってしまった人間がのうのうと生きてていいの?って。


「結衣はあたしのこと、恨んでないかな…?」

誰かに言ってもらいたかったの。


「恨んでない、今でも大事な友達だよ…」

結衣とあたしは友達なんだって。

結衣はあたしといて楽しかったって。


「そっか…、よかった…」

日記を閉じようとしたとき、偶然最後のページが少しだけ見えた。

そこには2枚の写真。

1枚目は、幼い結衣と一緒に写る、元気な女の子と、泣きそうな顔をしてる男の子。

多分芽衣と希龍くんだ。

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