tender dragon Ⅰ
「美波ちゃんか。よろしくね」
「あ、よろしくお願いします!」
よろしく?
これって今日限りの付き合いだよね?
何だか長く付き合うみたいな挨拶だなぁ。
「安田、腹へった!」
そう言う葉太の隣で、ソファーに寝転んでウトウトする希龍くんは、頭をあたしの方に向けてる。
眠そうな目とバッチリ目が合った。
「俺もー」
希龍くんがあたしを見つめながらそう言う。言葉の内容なんて、気にならなかった。
希龍くんの手がスッとあたしに伸びた。
そのままあたしの頬をつねったり、プニプニさしたりする。
「美波のほっぺ柔らか…」
頬に全神経が集中したかのように、熱が集まっていく。
眠そうな目も、柔らかい髪の毛も、のんびりした性格も、猫みたいだ。
その柔らかそうな髪の毛に触れてみたいと思ってしまう。